
今回は落ちたリンゴを慌てて食べて、リンゴが喉に詰まった子の紹介です。
普段から色々食べてしまう子なのですが、飼い主様がリンゴを食べていた時に一切れ(1/8)落としてしまいました。飼い主様が慌てて拾おうとしたところ、とられまい、として飲み込んだようです。
それからウグッウグッと吐きたそうにするけれど、吐きだせない状態が始まり緊急来院しました。

この状態は非常に危険で、本人が非常に苦しいのはもちろん、体力も疲弊します。涎がダラダラ出た状態で力がなくなると、涎が気管に入っていき窒息してしまいます。また長い間食道内でリンゴがギュウギュウにおさえていると食道組織を圧迫して壊死してしまい、食道に穴が開いてしまいます。
食道に穴があいたら、外科手術になりますが、胸の中であれば、開胸手術となり、困難さは開腹手術とは比べ物になりません。また食道組織は血流が少ないので、縫ったとしても、傷口がなかなかくっつかず、再手術になることが非常に多いです。
そんなわけで、急遽、全身麻酔下で内視鏡によってリンゴの前半部分を口から出し、残りを胃の中に押し込んで事態を乗り越えましたが、表面がグズグズで芯はしっかりしているリンゴを処理するのは中々に大変でした。

内視鏡処置後
私は他にも、歯磨きガムが喉に詰まって死亡した子を2例経験しました。救急対応病院時代の他の獣医師もそれぞれ経験しています。
いずれもワンちゃんが喉に詰まらせる時、共通しているのは「慌てている」事です。飼主さんがハッと気づき取り上げようとしたときにワンちゃんは慌てて飲み込みます。
もしワンちゃんが食べていけないものを食べようとしたときは、間に合わない時は潔く諦めて下さい。食べ物なら胃の中で溶けます。溶けないものや危ないものなら、胃の中で手術なり内視鏡洗浄なりします。
喉で詰まるのが、一番危ないのです。
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