てんかん発作について

てんかんは、脳の神経細胞が興奮しすぎてしまうことにより発作を起こす病気です。

 

ワンちゃんの発作は、てんかんにより起きることが一番多いのですが、ほかの病気(病状)、例えば、中毒や低血糖、肝臓や腎臓、心臓の病気などにより起こることもあります。

 

<てんかんの原因>

てんかんは、原因により2種類に分類されます。

 

一つ目は、特発性てんかんと呼ばれる、原因不明のてんかんです。

ワンちゃんに起きるてんかんの多くは、この特発性てんかんによるものです。

特発性てんかんは、遺伝に関連していることがあるため、若齢(6ヵ月齢~6歳)のうちに初めての発作を起こしやすい、また、特定の犬種(チワワやシェットランド・シープドッグなど)に起こりやすいという特徴はありますが、実際には、さまざまな犬種にみられています。

 

二つ目は、構造的てんかんもしくは症候性てんかんと呼ばれるてんかんです。これは、脳炎や脳腫瘍、脳の奇形、脳への外傷など、脳の構造に何らかの異常が発生することにより、てんかん発作を起こします。

 

<てんかんの症状>

てんかんの発作にはいろいろなタイプがあります。

 

突然意識を失って倒れてしまう大きな発作や、何も食べていないのに口をくちゃくちゃさせたり、何かを凝視するような動作をみせる、または、顔や身体の一部分だけがぴくぴくと痙攣する小さな発作などさまざまです。

 

代表的な発作は、ワンちゃんが突然倒れ、身体を突っ張らせたり、足をがくがくと動かす、または、足を泳がせるような動きをする強直・間代性発作です。発作の際に失禁してしまうこともあります。

このような大きな発作の前には、涎(よだれ)を垂らしたり、落ち着きのないしぐさを見せることがあります。

発作は通常数十秒から数分以内におさまります。その後は、よろよろと立ち上がり、少し時間が経つと、何もなかったように元気になります。

 

では、このような大きな発作が起きてしまったらどうすればよいのでしょうか?

 

大きな発作が起きてしまったら

 

1,発作中

 

・発作中のワンちゃんには触らず、ワンちゃんがケガをしないよう、ワンちゃんの周りにある危険なものをどかせます。また、危険な場所(水の中や道路上など)で発作が起きてしまったときには、安全なところへそっと移動させます。その際、飼い主様は噛まれないよう注意してください。(ワンちゃんの意識は混乱している状態なので、普段穏やかなワンちゃんでも噛むことがあります。)

 

・発作が起きてから落ち着くまでの時間を測ります。

 

・できればスマホなどで動画を撮影します。

 

*もし、発作が5分以上経ってもおさまらない、もしくは何度も発作を繰り返すときには、発作重責を起こしている可能性があります。発作重責は、命に関わる重篤な病状です。一刻も早く動物病院へご連絡ください。(病院が時間外の場合には、救急病院へご連絡ください。)

 

2,発作が落ち着いたら

 

発作が数分以内におさまり、ワンちゃんが落ち着いたら動物病院で診察を受けましょう。

病院では、身体検査や神経学的検査、血液検査などを行って、発作の原因を調べます。

このような検査で異常が認められなければ、特発性てんかんの疑いが高くなります。

 

確定診断を行うために、専門病院で脳のCT/MRI検査、脳脊髄液検査などの精密検査が必要な場合もありますが、このような検査はワンちゃんへの負担が大きく、コストもかかることから、精密検査はせずに、特発性てんかんと仮診断して発作の治療を始めることもあります。

 

<てんかんの治療>

発作が起きると、脳の神経細胞や脳がダメージを受け、発作の頻度や程度は徐々に悪化していきます。そして、発作のコントロールは難しくなり、命を落としてしまうこともあります。

 

てんかんは、治すことの難しい病気です。そのため、治療の目的は、できる限り発作の回数と程度を軽減させ、ワンちゃんの生活の質を向上させることです。

 

特発性てんかんと診断された、もしくは特発性てんかんが疑われる場合には、抗てんかん薬を使い、発作をコントロールする治療を行います。抗てんかん薬には、ゾニサミド(コンセーブ)やフェノバルビタール、臭化カリウム、レベチラセタム(イーケプラ)などがあり、発作の状態に合わせて、1種類から数種類の薬を、投与量を調整しながら使っていきます。

 

発作の原因が脳の構造的な異常による構造的(症候性)てんかんの場合には、それぞれの原因に合わせた治療を行います。脳腫瘍や脳奇形など、根治が難しい原因の場合には、抗てんかん薬を用いて発作のコントロールを行います。

 

<最後に>

ワンちゃんのてんかんは、長い治療が必要な、おそらく一生涯お付き合いしていかなくてはならない病気です。発作はいつ起こるかわからないため、水遊びなど、注意することはいくつかありますが、発作のない時にはお散歩や普通の生活を楽しむことができます。

 

できる限り発作をコントロールして、ワンちゃんとの大切な時間を楽しくお過ごしください。